2025年12月1日

シナリオ『子抱き富士』掲載のお知らせ


第12回ブックショートアワード9月期優秀作品として、シナリオ『子抱き富士』が選出されました。以下のリンクから、作品を読むことができます。

https://bookshorts.jp/wp-content/uploads/2025/11/d2894b094b31e8df1c3d54da36fe3983.pdf

また、AmazonKindleで発売中の『森水陽一郎作品集』にも、シナリオが5本収録されていますので、もしご興味があれば。(60分×4・120分×1)

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09B6LZKW2/



2025年11月1日

新詩集、発売のお知らせ


詩集『孤牛』(こぎゅう)が、ふらんす堂より刊行されました。



表紙にたたずむ木彫は、沢田英男さんの作品、撮影はGallery夏至の宮田法子さん、装幀は、ふらんす堂・和兎さんの手を借りつつ、私が担当しました。




カバーの紙は、マットな風合いの「風光」

布装に、自作した図柄を空押し。背に黒メタルの箔押し。






横並びの図柄の意図は、詩集を読むことであぶり出される。




透過する化粧扉は、手漉き和紙を
思わせる「シープスキン」



見返しの「NTラシャ若葉」の色味は、詩集の序に引きつがれて。




詩集『九月十九日』以来、担当の山岡有以子さんとは10年ぶりのタッグ。
今回もまた、自由闊達、日当たりのいい園庭で大きく羽をのばすことができました。

そして詩集を編み終えて、あらためて気づかされました。
実験的な試みや、衒学的な虚栄とは遠く離れた、まだ詩と出会うことのない自分、読み手に向けての、心の揺れをいざなう物語しか書けないし、書きたくないのだなと。深い深い森の奥、小さな種火を一から育て、偶然の迷いびとと言葉なく語らい、結果としてこの世界に、ささやかな黎明の風を起こしたいのだなと。

それを私は、人の根っこを介してつながる「物語詩」と呼びますが、散文詩と何が違うのだとたずねないでください。きっと答えは、物語の数だけ隠れているはずで、輪郭を羽織らせるたびに、するりと袖口から抜け出してしまうはずですから。

おしまいに。
本詩集の内容紹介にかえて、献呈紙にそえた一筆で、結びとほどきを。



詩集『孤牛』

B6判 上製カバー装
2025年11月5日刊行

以下のページ内、各オンライン書店、実店舗のリンクあり
https://kaiin.hanmoto.com/bd/isbn/9784781417868

ふらんす堂 
https://furansudo.ocnk.net/product/3201

【サイン本・期間限定販売】
新詩集を含めた過去の著作を、サインを入れ、期間限定でメルカリ内で販売いたします。匿名配送なので、個人情報の秘匿性が守られています。送料無料の販売ページは以下に。

メルカリURL https://tinyurl.com/3j9n7hmn

2025年9月2日

EBSCOhost 掲載のお知らせ


『詩と思想』2025年3月号掲載のエッセー「詩と小説のあわいを旅して」が、EBSCOhost(エブスコ・ホスト)に転載され、広く世界で読まれることになりました。

EBSCOhostとは、人文、社会、理工、医学などの学術雑誌論文を、オンラインで読むための包括的なデータサービスで、おもに大学図書館や公立図書館、研究機関などで、世界じゅうの学生や研究者たちに活用されるそうです。

ですので、もしかしたら遠い将来、ポルトガル随一の日本文学研究者や、メキシコ在住の多和田葉子さんファンの大学院生に、読まれる機会があるのかもしれません。

何度かトライしてみたのですが、個人ではどうやら、登録までたどり着くのが難しそうなので(カフカの『城』的な堂々めぐりを体験したので)、本ブログ内の、全文読めるリンクを以下に記しておきます。

【詩と小説のあわいを旅して】
https://yoichiromorimizu.blogspot.com/2025/02/blog-post_28.html

掲載時期はまだしばらく先みたいですが、もし機会があればご一読を。



2025年8月16日

夏休みの工作 五色模様


実用の美から、あったらいいなまで、
ちょちょいのちょいで、こしらえてみる。



【古代香水】

杉の宝珠に、土台はひのき、ずんぐりとした香水の瓶をイメージ。
ひのきの香りは揮発性でほどなく消えるが、どっこい、底面だけは薄れていかないことを、事前の実験で学んでいる。もし薄れても、さっと紙やすりでこすれば見事復活。

鼻先をかすめ太古は森の精




【縄文シキ鍋シキ】

ワンコインショップのシリコン製も、安価で使い勝手がいいが、フライパンの直置きは、どうしても熱がテーブルに伝わってしまう。
小さいほうの鍋敷きは、少し分厚い紙ひも製で、ステンレスの鍋用。大きいほうは、鉄のフライパン用。麻ひも製で、形を自在に曲げられ、円のとんがり部分から、底面の熱気を逃がせるように工夫した。






【ハリヤマ亭ハリモグラ】

見本になるものはないかとネットをさぐってみると、フォルムのかわいい売れ筋の、ハリネズミの針山が圧倒的に多い。
そこはへそ曲がりの、人生なな曲がり、あえてハリモグラをチョイス。お腹の空洞には綿を詰め、端切れの革で、底に栓。実際の出番はほとんどないが、作業机の片隅にいるだけで、どうやら眉間のしわ防止に寄与している。



【高台厨子・杉の葉寿司】

柿の葉ならぬ、杉の葉の手作り線香。
庭先の落ち葉を拾い集め、細かく砕いて、くわえるのは水のみ。
三ヶ月だけともに暮らし、腎臓病で旅立った迷い猫のポッケ。
家の裏の高台に、毎年命日になると花がつおをそなえるのだが、そこに香食(こうじき)をそえて、満腹を願う。最後は流動食どころか、水さえ飲むことができなかったので。





【スカラベ飛ばず之介】

現地の土産物のスカラベを、古代エジプトの出土品といつわって、オークションに出品している商魂たくましい人たちにも、学びはある。

本物までさかのぼると、思いのほか粗野で素朴、釉薬の工夫もなく、ずっしりとあんこのつまった大福のような重量感があり、宝飾よりも護符としての空気をまとって、わざとらしい汚しとは無縁だ。
博物館級の品はもちろん手に入るわけもなく、じゃあいっそのこと、手ごろな土産物を落札するよりも、自分でこしらえてみようと思い立つ。

汚しや釉薬はなしで、土の風合いにまかせて(といってもオーブン粘土だが)焼成し、低温で焼きが甘くなる分、仕上げの手油が染みて、味になる。
背中に走る翅の縦ラインと、付け根の三角の小楯板(しょうじゅんばん)は、あえてなくした。高く飛び立つよりも、愚直に地を這うほうが好きなので。


2025年6月22日

夏旅 2025


八重山にて、島めぐりの旅




海ぶどうに島豆腐、パパイヤチャンプルに

ラフテー山盛りのソーキそば、もぎたてパイン

赤酢飯の地獲れマグロ丼に、塩ちんすこうアイス


物珍しい朝食バイキングに目を輝かせ

島渡り翌日から、男子柔道部員のはりきりようで

胃袋を破裂させかけて1時間ほど寝込むが

無事復活、気づけば5万歩ほど歩いてきた





あやうくの三途の川でなく

牛車に揺られて、のんびり海渡り










定番の観光スポット、灯台岬や鍾乳洞などを

現代人の悲しみかな、事前情報の確認作業とばかりに

頭の中のチェックシートに墨入れをして、見てまわる











といっても、生まれてこのかた、視力2.0

ブラタモリの来島の痕跡や

階段に芽吹いたど根性ガジュマル

ガラスごし、ふいに語りかけてきそうな

シミュラクラ現象を体現するパナリ焼

思わず駆け出したくなる海への抜け道など

見逃すことなくカメラにおさめ、そっとふたをし










語られを遠く待つ、いくつかの風景、出会いを胸に、離島