2025年3月6日

ブックショートアワード、ふたたび


短編「薬師堂の夜」が、第11回ブックショートアワードの12月期優秀作品として選出されました。

作中に一箇所、漢字の誤記が含まれていますが、そのうち訂正されるでしょう。
もし受けつけてくれない場合は、かえって縁起がいいかもしれません。
崩壊にいたる完成を小粋に遠ざけた、日光東照宮の逆さ柱よろしく。

(※追記 寛大かつ迅速な対応で、逆さ柱が天に向き直りました。 2025/03/10)

【ブックショートアワード「薬師堂の夜」】

https://bookshorts.jp/wp-content/uploads/2025/03/b4a92062788dce66283f11b383787e1e.pdf



2025年3月1日

エッセー掲載のお知らせ


『詩と思想』3月号に、エッセー「詩と小説のあわいを旅して」を寄稿しました。

小説家であり詩人でもある、多和田葉子さんについての論考です。
手製の漉し布でふりしぼった一滴は、さて透き通った甘露でありましょうか。











2025年2月18日

はしごより人はのぼりて草いきれ


ここ最近の、手ごしらえの成果をいくつか。




【意匠・衣装・異象】

ワンコインショップで売られている、なんの変哲もない真空マグ。
あまりにも殺風景で、風邪をひきそうなため、まずは革のはぎれで、チョキチョキトッチン、チョキカッチン。銅製品で名高い、新潟は燕市の茶筒仕様に。並んだ真鍮のぽっちは、親指のすべりどめをかねている。

ふたも同じく、金づちでトッチンカッチン、アルミ板の叩き出し。
デコとボコの、デコの出っぱりを、紙やすりでさっとなでることで、思わぬ模様が浮かび上がり、予定変更。つまみの部分をガーデンクォーツにすることで、光が乱反射でもしたような、あらたな顔がお目見えし、マグにも衣装とはまさしくこのこと。



【たましい礼拝堂(1/1)】

ふと気が向いて、ル・コルビュジエが晩年に設計したロンシャン礼拝堂を作りたくなる。
材料は石膏粘土、問題は縮尺だ。ジオラマ職人の豪胆さで、ひと部屋を占領させるわけにもいかないし、かといって小さくしすぎると、せっかくの細部が妥協との戦いになる。

理想は、作業机の片隅における邪魔にならないサイズで、日々のほこりを栄養として歳を重ねるような、ウェザリングの汚し仕立て。

さて、先人たちはどのような仕事を残したのだろうと、「ロンシャン礼拝堂・石膏模型」で検索をかけてみる。さっそく、逆立ちしてもたどり着けないプロの仕事、植野石膏模型製作所製の、1/400スケールの模型に目を惹かれる。見れば見るほど釘づけになる。むしろこれでいいじゃないか、理想の極北じゃないかと、ひと晩寝かせたのちに、財布と相談し、
納得の結論。
しかし残念ながら、発売は2015年、限定数300ピースで、どこにも販売ページがない。会社の電話番号さえない、ひと目で詐欺とわかる2割引の通販サイトが、いくつかヒットするばかりで。

しかしそこは、大胆不敵の乙女座O型、ダメ元で直接、植野石膏模型に問い合わせると、なんとまだ在庫があるという。というわけで、渡りに舟、ご厚意に甘え、無事に手元に届いたのだが、あまりにも完成度が高く、階段の手すりなど、大げさでなく髪の毛ほどの細さだ。これはいたずらに、素人仕事でウェザリングするべきでない、モネの睡蓮に、鼻息荒くイボガエルの群れを描き込むような、素っ頓狂の狂介のダメしぐさだ。

というわけで、一点ものの工芸品を一時的にあずかる心持ちで、模型に邪魔をしないかたちで、(1/1)のジオラマ作品をこしらてみる。



イメージは、地上と天国のはざまに人知れず鎮座する、無人の煉獄だ。
井戸の底よりのぼってきたたましいは、はしごを伝い、ちり一つない礼拝堂に足を踏み入れる。そこは心を平らにし、たましいを白くととのえる唯一の場所である。




軽みを増し、旅立ちの支度をととのえたたましいは、薄れゆく素足で、白の敷石を歩き、いにしえの部族に伝わる、二叉のはしごに足をかけ、天にかえっていく。常緑の、草の香りをまとって。その草の名も、思い出も、いずれ何もかも忘れて。


2025年1月18日

詩の朗読のお知らせ

日本現代詩人会主催の現代詩ゼミナールで、詩の朗読をします。
文壇のツチノコに出会える貴重な機会、お見逃しのないよう。

■ 日時 2025年1月25日(土)14時~
■ 会場 アルカディア市ヶ谷・5階 大雪

■ 講演 広瀬大志「Magical Mystery Poetry」
■ 朗読 森水陽一郎 根本紫苑 伊武トーマ 高貝弘也

【日本現代詩人会】
https://www.japan-poets-association.com/research/newyear/13609/



2024年12月27日

幻冬舎ルネッサンス新人賞

長編小説『泣き男とスマイルバード』が、第5回幻冬舎ルネッサンス新人賞の候補になりました。

すでにアマゾンキンドルの電子書籍として販売している本書ですが、問い合わせの結果、応募が可能ということで最終選考まで進み、つぼみの結末を迎えました。

原稿用紙にして800枚という長編を、それもかなりの体力が必要なヘビーストーリーを、ていねいに読んでいただけたことに感謝するばかりです。

というわけで、すべての権利はいまだ著者にありますので、ためしに読んでみたいなという出版関係者のかたがおられましたら、画面右の「問い合わせ窓口」より、ご連絡いただけると幸いです。(おもてに出していない長編小説が複数本、とある小説賞の最終候補作品が1本、現在手元にありますので)

なお、以下のアマゾンキンドルの販売ページでも、本作品を読むことが可能です。

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『泣き男とスマイルバード』あらすじ

目羅創生は出所してからの六年半、死体の後始末を扱う東京の清掃会社で働いている。彼には三億を上まわる貯蓄があるが、それは清掃業務に対して支払われた報酬ではない。
ある冬の夜、彼のもとに一本の電話がかかってくる。中学時代の同級生だと名乗るその女、間壁くるみは、創生が起こした殺人事件の「架空の共犯者」について、また一人息子の大玄について、にわかには信じがたい話を切り出してくる―。

【原稿用紙換算800枚 約28万6千字】

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07WK1G5XS/



https://www.amazon.co.jp/gp/product/B09B6LZKW2/