2020年12月21日

H氏賞、選考委員就任のお知らせ

光栄なことに、第71回H氏賞の選考委員の一人として参加することになりました。

ここ数年、詩を取り巻く現状はなかなか厳しいものがあり、立て続けに三つの詩賞が終わりを迎えています。(現代詩花椿賞・高見順賞・三好達治賞)
それはもしかすると、本来の詩の正しい立ち姿なのかもしれません。華々しい桂冠は、ときに書くためのガソリンになりますが、仰ぎの目的地にするべきではありませんから。見晴らしのよさに満足し、うっかりすると歩みの靴を脱がせてあぐらをかかせますから。

言い換えると、目的地がないからこそ、「なぜ」は枝葉を伸ばすのかもしれません。
なぜ書くのか、なぜ詩なのか、(自身の内奥を含め)誰に向けて声を届けたいのか。極論でいえば、その「なぜ」さえも、ときに詩を濁らせるでしょう。
誰も詩を求めない世界の果てから、新しい靴音が聞こえてくることを、同じまなざしを持つ一人の書き手として期待しています。