詩集『孤牛』(こぎゅう)が、ふらんす堂より刊行されました。
表紙にたたずむ木彫は、沢田英男さんの作品、撮影はGallery夏至の宮田法子さん、装幀は、ふらんす堂・和兎さんの手を借りつつ、私が担当しました。
カバーの紙は、マットな風合いの「風光」
布装に、自作した図柄を空押し。背に黒メタルの箔押し。
横並びの図柄の意図は、詩集を読むことであぶり出される。
透過する化粧扉は、手漉き和紙を思わせる「シープスキン」
見返しの「NTラシャ若葉」の色味は、詩集の序に引きつがれて。
詩集『九月十九日』以来、担当の山岡有以子さんとは10年ぶりのタッグ。
今回もまた、自由闊達、日当たりのいい園庭で大きく羽をのばすことができました。
そして詩集を編み終えて、あらためて気づかされました。
実験的な試みや、衒学的な虚栄とは遠く離れた、まだ詩と出会うことのない自分、読み手に向けての、心の揺れをいざなう物語しか書けないし、書きたくないのだなと。深い深い森の奥、小さな種火を一から育て、偶然の迷いびとと言葉なく語らい、結果としてこの世界に、ささやかな黎明の風を起こしたいのだなと。
それを私は、人の根っこを介してつながる「物語詩」と呼びますが、散文詩と何が違うのだとたずねないでください。きっと答えは、物語の数だけ隠れているはずで、輪郭を羽織らせるたびに、するりと袖口から抜け出してしまうはずですから。
おしまいに。
本詩集の内容紹介にかえて、献呈紙にそえた一筆で、結びとほどきを。
詩集『孤牛』
B6判 上製カバー装
2025年11月5日刊行
以下のページ内、各オンライン書店、実店舗のリンクあり
https://kaiin.hanmoto.com/bd/isbn/9784781417868
ふらんす堂
https://furansudo.ocnk.net/product/3201