2013年12月4日

改訂のお知らせ

短編『噛みつき男爵』が、第二版に改訂されました。掌編と短編が、それぞれ一つずつ仲間入りして、分量にして約二倍の、短編集となります(といっても、百枚とちょっとですが)。再ダウンロードは、もちろん無料です。申請方法は→ bit.ly/1eLw7rs

【追加分: 『白やぎからの手紙』11枚 『波を着込んで』37枚】

『白やぎからの手紙』

「エラー」で戻ってくるはずのメールを、昔の恋人へ送った僕は、そこに思いもよらない返信を見ることになる。ささやかな交流ののち、行方知れずとなる名前も顔も知らないメール相手。七年後、すでに消去したはずのメールアドレスが、「題名」の欄に記されて、見知らぬ誰かから送られてくる。ほとんど脅迫にも思える文面にしたがい、僕は送り主に会いに行くのだが―。

『波を着込んで』

双葉町で長年寿司屋を切り盛りしてきた宗平は、震災をさかいに故郷を追われ、埼玉の土地で妻と二人、避難者としての生活を余儀なくされる。ほどなく、妻の明子が、置き手紙一つ残すことなく失踪し、宗平は動揺を見せながらも、何とか埼玉での自活の道を探る。秩父さくら湖からの脇道に、別の世界への入り口が隠されている話を聞かされた宗平。「波の色」に染めた作務衣を着込み、ある覚悟を胸に、手ぶらで自宅から歩き始めることになる。