2016年12月8日

『現代詩手帖』 現代詩年鑑2017 掲載


『現代詩手帖』12月号の恒例特集、現代詩年鑑2017に、詩集『九月十九日』より、「20140701」が掲載されました。目次を見るかぎり、詩壇のトップランナーがそろい踏みしており、そこに私の名がちょこんと腰かけているのは、なんだかお祝いの席にニッカポッカで参加しているようで、場違いかつ不思議な気がするのですが、まあありがたい話には違いありません。

ちなみに掲載詩を選んだのは、私ではなく現代詩手帖の編集部で、なかなかマニアックというか、「差し色」主義者なのではないかと、勝手に想像しています。実はこの詩、ほとんど言及されてもこなければ、褒められもしなかった、ちょっとかわいそうな子で、ちょうどお節料理でいうところの、「昆布(こぶ)巻き」あたりの存在でしょうか。見た目もなんだか冴えないし、ぬちゃりとした妙な歯ごたえもあって、けっこう好き嫌いが分かれると思います。(戦前回帰の灰色の風に警鐘を鳴らしたいくつかの詩のなかでも、かなり直裁的にこぶしのかたちが描かれている)



本誌の序盤に、稲川方人さん、中本道代さん、阿部公彦さんの鼎談が掲載されているのですが、作品「橋の下の聖人」については稲川さんが、作品「20140701」については、同じく稲川さんと、中本さんがふれてくださっています。お二人とも、私が新人欄に投稿していたさいの年間選者で、このようにきちんと形を整えて、あらためて俎上(そじょう)にのぼらせ、よく研がれた包丁でさばいてくださる光景を目にするのは、やはり感慨深いものがあります。また、鼎談内で言及された多くの詩集のなかの「締め」として、『九月十九日』の表紙を扱ってくださったのは、おそらく私以上に、装画を担当された玉川麻衣さんが小躍りすることでしょう。

本詩集、実際に手にとってはじめてほの見える、「簡単には消費されないための仕掛け」が、実はあちこちに(その内容を含めて)散りばめているのですが、それを著者があれこれ説明するのは無粋になるので、ここでは巡り合わせがあることを、ただ祈りつつ。